男性更年期における行動変容モデルの研究

Research 01


女性の更年期障害は一般的ですが、男性においても、40歳前後~60代前半において、「加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)」とよばれる、更年期障害があります。男性更年期障害とも言われます。

具体的な症状としては、以下のようなさまざまな形で現れます。

  • 精神症状:全身の倦怠感、イライラ、無気力、無関心、不安感、不眠、疲れやすさ、記憶力や集中力の低下など。
  • 身体症状:頭痛、肩こり、動悸、息切れ、多汗、肥満、頻尿、顔のほてり、手足のしびれなど

原因は、男性ホルモンであるテストステロンの低下と言われ、人によっては30代から症状が生じることもあります。

この年代の男性は、俗に「働き盛り」と言われる年代であり、組織において要職についていることも多い年代です。
LOH症候群自体の認知が低いことから「年のせい」として片付けられてしまいがちな症状ではありますが、個人のQOLや組織・社会の生産性に大きな影響を与えているものと弊社は考えています。

低下したテストステロンの分泌量を増やすには、食事・運動・睡眠といった生活習慣の改善が有効とされていますが、LOH症候群の男性には生活習慣を改善するための気力そのものが低下しているケースも多く、今後社会問題となることが予想されます。

弊社では、更年期男性を主ターゲットとして、生活習慣の改善(行動変容)を促すための効果的な働きかけのモデル研究を実施しています。

なお昨今、若年層を中心に「老害」という用語が流行しつつあります。「老害」という言葉は特定の個人への批判的な意味合いとして使われがちですが、LOH症候群の1つの現われと弊社は考えています。男性一般において起きうる現象であることの社会的認知が必要と考え、啓発に努めていく所存です。

※参考:行動変容ステージモデルについて

人が行動を変える(行動変容を起こす)までには、次の5つのステージがあるとし、その人が現在いるステージに応じた働きかけを行うことが重要とするモデルです。1980年代の禁煙の研究から導かれました。

1.無関心期:6ヶ月以内に行動を変える気がない
2.関心期 :6ヶ月以内に行動を変えようと思っている
3.準備期 :1ヶ月以内に行動を変えようと思っている
4.実行期 :行動を変えてから6ヶ月未満
5.維持期 :行動を変えてから6ヶ月以上

参考:行動変容ステージモデル - e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-07-001.html